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2006年11月12日 (日)

「ゴルトベルグ変奏曲 J.S.バッハ/ジュリアン・ラクリン 今井信子 ミッシャ・マイスキー」

これは最高にお薦めの一枚。クラシックファンだけでなく、ポップスファン、ジャズファンにもぜひ聴いて欲しいもの。もともとバッハの鍵盤楽曲だったものを、弦楽3重奏に編曲。更にこの曲を一躍有名にしたグールドに捧げられ、1984年に録音されたものを、この3人がさらに再録という経緯。あのグールドの高速演奏を見事に彷彿とさせながらも、弦楽3重奏ならではのスリリングな演奏になっている。

演奏と関係ないがジャケットがカッコイイ。クラシックのジャケットはまったくお金のかかっていない所有欲を満足させないイマイチなジャケットが多いのだが、これはなんともイイ。表のジャケットはスタジオに3人が写っている。ふつうおきまりの演奏シーンか楽器を持ってお互いが見つめあうと相場が決まっているのだが、なんとスタジオでモニターをヘッドホンで聴いており、だれも顔をあわせていない。お互いモニターで流れてくる演奏に没頭というカット。これは実にクラシックらしくない。粗い粒子でダークな写真もロックのジャケットのよう。このジャケットが見事に内容を表しているような気がする。

もともとグールドに捧げられたのだからあの高速演奏で淀みのない溌剌とした演奏を誰もが期待するところ。聴いてびっくりだけれど、個人的にはピアノよりこの3重奏のほうがずっとスリリング。3人の濃密な掛け合い、それも一瞬もだれることなく、つねにお互いがお互いと会話し、あるときは駆け引きであり、あるときは疾走だ。3人の演奏は螺旋のよう。チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンのどれかが前面に出てきたと思ったら、すぐにそれは3人対等になり、また違う楽器が前に出てくる。主役が常に入れ替わり、交じり、はじけあい、そしてきりもみしていくかのように走っていく。

聴いているほうも前のめりになったりハラハラしたり、美しさにうっとりなったり、本当に多彩な感情を呼び起こしてくれる最上級のアンサンブル。ジャケットの帯にこう書いてある。「緩急自在に繰り広げる、愉悦に満ちた至高のアンサンブル!」。これまったく偽りありませんね。マイスキーが一番の人気者かもしれないが、私は今井信子のヴィオラが最高にしびれた。低い音で速弾きしながら、高い音のヴァイオリンと絡むときの快感たらない。ロックだとこういう速弾きアンサンブルはよくあるのだけれど、クラシックでここまでカッコイイのはなかなかみあたらない。

この3人は本当に凄いのだけれど、こういうアレンジを可能にさせるバッハの楽曲の凄さもまた再認識。さらにバッハの楽曲あらゆる可能性を見出したグールドにも感謝。現代に生きる私たちは、ぜひこの演奏でバッハを心から愉しみたい。そこには何の準備も知識も要らない。そうポップスを愉しむように、I-Podにでもダウンロードして外に連れて行っても大丈夫。この企画で来日してくれないかな。

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コメント

先週末の日曜日のN響アワーに、ラクリンが登場してベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61のソリストを務めていましたね。

素晴らしい演奏でした~catface

投稿: でんじょう | 2011年3月 9日 (水) 15時40分

ギョーザさん、返信ありがとうございます!
それでは地下にもぐります(笑)。

投稿: 透 | 2006年11月14日 (火) 14時31分

バッハはまだあまり聴いたことないです。作品が多すぎてどこから手を着ければいいかわからない(笑)。
でも、これをきっかけに聴いていこうと思います。
バッハとかあの頃の音楽はロマン派の音楽と違って人間臭さがなくて崇高でいいですよね。
マイクオールドフィールドもソロになる前にはギターでバッハをカバーしていたそうですね。

投稿: 透 | 2006年11月13日 (月) 03時35分

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