「DIRTY PROJECTORS / ダーティ・プロジェクターズ」 Shibuya CLUB QUATTRO渋谷クラブクアトロ 2010年3月16日
ここ最近のベストともいえるライブだった。ダーティ・プロジェクターズの来日公演、昨今のニューヨークシーンの充実を象徴するかのような圧巻のパフォーマンス。
昨年出た傑作「ビッテ・オルカ」の世界をどう表現するのか楽しみでいっぱいであったのですが、CDとはまた別の意味で美しくも自由で開放される音楽がそこに展開されていた。素晴らしすぎて、一緒に見に行った友人とその後何時間もこのライブについて語り合ってしまった。
なんといってもまず特筆すべきはあのボーカル+コーラス。CDで重ねられていた女性コーラスが大好きだったので、「でもあれはライブで再現できないだろうな」なんてふんでいたら、とんでもない、CD以上に美しく透き通っていながらも、力強いコーラスが全編にわたってライブ会場を満たし、「ああ、もうこのコーラスに一日中浸っていたい」というくらい気持ちよかったです。
友人とも話したのですが、ロックってコーラスに関してまだまだ本当に未開なんだなと思った。ビートルズ、ビーチボーイズ、クイーンとかいくつかのバンドが美しいコーラスに挑んでいるけれど、まだまだやれること、やるべきことがたくさんあり実験の余地があることを見事にダーティ・プロジェクターズは提示した。クラシックの世界ではとっくにやりつくしているコーラスの表現世界。実はロックでは開拓していない領域であることを新たにした。なにしろ女性3人がコーラスをつけるのですが、ときに2人になったりその二人のペアが3通りあり(3人のうちだれか二人組むと3通りのパターンがありますよね)、それぞれ違ったコーラスを聴かせるのだから面白い。
リズム面でもあまりきまったパターンがなく、まったくあきが来ない。静かで和音を奏でていたと思ったらギクシャクしたドラムとギターがかき鳴らされたり、ドラムとギターでノリノリ状態から突然ギターとコーラスだけになったりとか、リズムやハーモニー面での緻密で複雑な流れがすばらしい。まったくインディーっぽさや、ローファイっぽさはなく、かなりテクニックのあるプロフェッショナルなバンド。
また面白いのはそれだけ斬新なサウンドデザインを持っていながら、トーキングヘッズ、ボブディラン、ホライトストライプスなどのアメリカロックの伝統をきちんと継承していること。それはつまり一見インテリくさく、アバンギャルドな要素を感じさせながらも、完全にポップス、ロックとして聴かせる懐の深さをもっているということだ。
「ビッテ、オルカ、オルカ、ビッテーー」の叫び、最高におかしくてユニークでした。今年の私のテーマ曲にしたいです。みんなで叫んだら楽しいよね。オルカ・ビッテ~。Dirty Projectors最高の感動をありがとう。
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