『712 Day Party Tokyo / 少年ナイフ』渋谷クラブクアトロ 2010年7月7日
恒例の少年ナイフ、ナイフの日712Day Partyを渋谷クアトロで見た。恒例といっても今回のライブはメンバーチェンジ後の新生少年ナイフ。いつもとはちょっと違う緊張感と期待で足を運んだ。
もう一週間も前のことだけれど、ずっとあの時の気持ちよさが続いている。とても素晴らしいライブだった。見る前の緊張感は、いつものナイフ色の幸福感にすっかり溶かされてしまったようだ。
少年ナイフは新生といってもある意味変わっていなかったし、もちろん新しいメンバーとともに変わっているところもあった(あたりまえだけれど)。新ドラマーのえみさん(愛称がえみちゃんなので、今後はえみちゃんで)を迎え、ナイフは昔のように随分シンプルなサウンドに立ち返っていた。もちろん交代からたった3か月くらいのことだからそれだけでこう変わったなんて定義するのはおかしいので、あくまで現時点での印象だけれど、えっちゃん時代のドラムとベースが波打つグルーブを聴かせたナイフから、シンプルなビートにのって、なおこさんの美しく、メロディアスな歌をきちんと聴かせて、コーラスもばっちりきめて、ギターとベース、ドラムのアンサンブルを風通し良く聴かせるナイフスタイルだ。
えみちゃんのまったくもってシンプルで規則的なビートをバックに、なおこさん、りっこさんがコーラスを重ね、ベースとギターが何度かきれいにハーモニーを聴かせる場面は、とてもクリアで響きよく、なんとも風通しのよい気持ちのいい空間を作り上げていた。ベースのりっこさんも「Devil House」等で実に堂に入った歌を聴かせていた。ベースも低域の解像度が素晴らしく、何度もナイフのライブを見ているけれども初めて「ああこの曲、ギターとベースがこんな風に音が重なってたんだ」と改めて認識する場面があり少年ナイフの曲のマジックがよく見通せて気持ちいい。
そしてその新生ナイフの真骨頂が新曲「Move on」である。最近のリズム隊がどんどん曲をグルーブでひっぱっていくような展開ではなく、ロック黄金時代を彷彿とさせるまさに少年ナイフ王道の美メロチューン。なおこさんの言うとおりワールドクラスの楽曲だろう。このMove onには本当に感動させられた。誰でも一度聴いたら忘れられないメロディー(その場でレッツムーブオン!って歌っている人がたくさんいたよ)に3人のコーラスが重なり合い、ただでさえ色彩豊かな演奏/メロディーに、一層のポップさを磨けあげている。少年ナイフは結成から20年以上たっているけど、まだまだロックが生まれたままのその躍動感、生命感を解き放ち続けている。
新生ナイフでたった3か月。それでこのクオリティ。結局ナイフが根本的なところで変わっていないからなのだろう。根本的なところというのは、やっぱりなおこさんのあらゆるロックの一番素晴らしいところを組み上げたような楽曲センス、メロディー、そしてコードなどの鮮やかさ、その鮮やかさをサポートするギタープレイ・音色(今回、ギターがいくつかのコードを弾いた後にギターソロに移る際のとても鮮やかな音色を堪能し、やっぱなおこさんの音に関する感性はずば抜けているとつくづく感じた)、楽しくもカッコいいバンドアンサンブル、といったところだと思う。
そして少年ナイフが楽しいのは音、演奏から色彩感や幸福感といった深い感覚に訴えかけてくることだ。
また少年ナイフは中国、アメリカなどの海外ツアーに出かけるのだという。世界中でファンが増え続けるに違いない。実際この日もたくさんの外国人のファンがいた。帰り際、イギリスからこの日のためにわざわざ日本からきたというイギリス人のファンと会話した。「Really Great!!」と叫んでいたけれど、このライブを体感したら誰でもそう叫びたくなるだろう。
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